「GIGAびらき」って何だ?デジタル学習のスタートに必要な”儀式”の重要性とは (2022年8月18日 DCオンラインゼミ”GIGAびらきからはじまる岐阜市のデジタル・シティズンシップ”)

毎月1回、ゲストとDC研究会のメンバーが語り合う「DCオンラインゼミ」。今回は2022年8月に開催された、第3回オンラインゼミから、岐阜県岐阜市の取り組みを要約にて紹介します。

岐阜聖徳学園大学と連携し、GIGAスクール構想の第一歩として「GIGAびらき」という手法を取り入れています。このオンラインゼミでは、岐阜聖徳学園大学の芳賀教授のコーディネートのもと、岐阜市の水川教育長をはじめ、教育委員会のキーパーソンが直接、岐阜市における「デジタル・シティズンシップ教育」のあり方について解説をしてくれました。


全国でスタートしたGIGAスクール構想は、すべての生徒に1人1台の端末と高速インターネット環境を整備することで、教育のデジタル化を推進し、学びの個別最適化と平等な教育機会の提供を目指す国家的プロジェクトです。この構想の中で、岐阜市内の学校では「GIGAびらき」という、デジタル機器を活用した教育の新たなスタートを子供達にとっても象徴づけるイベントを開催しています。「GIGAびらき」は、特に新1年生がデジタル機器に初めて触れる瞬間を象徴するイベントであり、ICTの活用がどのように学習の幅を広げ、教育環境を変革できるかを体験する場として位置付けられています。以下の通り、本オンラインゼミの内容の要約を記載します。詳細や資料などはぜひ本編をご確認ください。(アーカイブ視聴権は、本イベントにお申し込みになられた方全員に配信しております)

今後のDCオンラインゼミを受講されたい方は、研究会のイベント予約サイト(無料)であるPeatixをぜひフォローください

改めて、GIGAスクール構想により訪れる学び方の変容について

教育現場におけるデジタル化は、児童生徒一人ひとりに大きな影響を与えます。例えば、従来の一斉指導から個別最適化された学びへ移行するためには、児童生徒がデジタルデバイスを自由かつ安全に活用できる環境を整える必要があります。例えば、

  • 学習の多様化と個別化: ICTを活用することで、生徒は自分のペースで学び、興味を持った分野により深く関与できるようになります。個々の学習ニーズに合わせた支援が可能となり、学習の質が向上します。
  • 教育の平等性: 地域や学校間の格差を解消し、すべての生徒が同じ学習機会を持つことで、教育の平等性が確保されます。特にデジタル機器の提供により、物理的な制約を超えた学びの環境が構築されます。
  • 未来のデジタル社会への準備: デジタル機器を通じて、情報を収集・発信する能力や、テクノロジーと共に生きる力を育てることは、未来の社会で不可欠であり、GIGAスクール構想のスタートを象徴づける「GIGAびらき」はその第一歩とも言えます。

岐阜市の取り組みとリーダーシップ

岐阜市は、教育現場におけるデジタルシチズンシップ教育の推進に積極的に取り組んでおり、市全体でICT教育の普及に向けた計画を策定しています。岐阜市教育委員会のGIGAスクール推進室は、全70校の小中学校と特別支援学校でタブレット端末を導入し、約3万人の児童生徒と2,400人の教員に対してデジタル教育を展開しています。岐阜聖徳学園大学との協力により、学生がギガびらきに参加し、デバイスのセットアップや使い方をサポートするなど、実践的な教育が行われています。

岐阜市教育長の水川氏は、「教育のOSを変える」という強いリーダーシップを発揮し、デジタルシチズンシップ教育の重要性を強調しています。デジタル時代において、単にデバイスを使用するだけでなく、責任ある利用や倫理的な判断が求められるため、デジタルリテラシー教育の確立が必要不可欠であるという考えを基に、岐阜市の教育環境を整えています。


栗本氏(岐阜市教育委員会 GIGAスクール推進室 主幹)のお話

岐阜市教育委員会のGIGAスクール推進室の代表として、岐阜市におけるGIGAスクール構想の進展を具体的に説明。岐阜市は、70校の小中学校にデジタル端末を導入し、約3万人の児童生徒に教育のデジタル化を推進している。栗本さんは特にGIGAびらきのプロセスとその意義について説明してくださり、教育の現場でデジタルツールがどのように活用され、教師や学生のサポートによって教育効果がどのように高まったかを説明してくれました。また、岐阜市教育委員会と岐阜聖徳学園大学の協力により、GIGAびらきが円滑に行われた背景にも触れ、教育とデジタルの融合がもたらすメリットを説明しています。特に「GIGAびらき」の成功には、学生や地域社会のサポートが欠かせなかったことについて触れています。岐阜聖徳学園大学の教育学部の学生が新1年生のデバイスのセットアップをサポートし、ICTの導入を支援してくれたことにより、教師が生徒に目を向ける時間を増やせ、より個別指導に注力できる環境が整ったとしています。

水川教育長のお話

水川教育長は、「教育のOSを変える」というテーマで、岐阜市の教育改革へのビジョンを説明してくださいました。岐阜市がGIGAスクール構想を通じてデジタル教育を推進していることについて触れ、前述のような従来の教育モデルからの大きな転換を目指していることを強調。特に、デジタル・シチズンシップ教育が岐阜市の教育戦略において重要な役割を果たすことを明言し、子どもたちが責任あるデジタル市民として成長するための教育環境整備の必要性を訴えました。また、水川教育長は、デジタル教育が学校現場だけでなく、教師の間でも新たな教育手法の共有やベテラン教師との連携を促進していると述べ、この取り組みが教育の質をさらに高めると強調しました。

吉元氏(岐阜市教育委員会事務局 学校教育デジタル化推進監 兼 GIGAスクール推進室室長)

吉元氏さんからは、岐阜市のGIGAスクール推進の現状と課題について説明をいただきました。岐阜市が70校にわたってタブレット端末を導入し、デジタル・シチズンシップ教育を促進する中で、特に組織的なアプローチの重要性が強調され、岐阜市全体でこのプロジェクトを成功させるためには、教育委員会、学校、そして保護者全体の協力が必要であると述しました。吉元氏もまたGIGAびらきの効果を評価し、今後も岐阜市全校に拡大する予定であることを示しています。


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