毎月1回、ゲストとDC研究会のメンバーが語り合う「DCオンラインゼミ」。今回は2023年1月にNPO法人ジェイアーンと共同開催した「デジタルシティズンイップと外国語教育」の内容について概要をお届けします。
今後、アーカイブを有償で配信することも検討しております。以下の概要を読んで興味が出てきたという方は、JDiCE事務局までご相談ください。

今後のDCオンラインゼミを受講されたい方は、研究会のイベント予約サイト(無料)であるPeatixをぜひフォローください。
まず、NPO法人ジェイアーンの概要ですが、以下のような活動を行っている団体です。
• 設立: 2003年(2023年で20周年)
• 会員数: 169名
• 特徴:
• **アイアン(iEARN)**というグローバル教育ネットワークの日本センター。
• 140以上の国と地域が参加し、ICTを活用した国際共同学習を推進。
• 活動内容:
• SDGs関連プロジェクトを通じた国際交流学習
• ワークショップや活動報告会の開催
• オンラインジャーナルの発行
• 教育情報の発信(公式ウェブサイト・月刊誌「クレスコ」連載)
• 目指すもの:
• グローバルシチズンシップ教育の推進
• デジタルシチズンシップ教育との融合
• 国際共同学習を通じた生徒の主体的な学び
阿部志乃先生の講演「デジタルシティズンシップと外国語教育」
阿部先生は講演の冒頭で、日本の教育現場におけるデジタル機器の普及と、それに伴う課題を提示しました。2021年のギガスクール構想により、児童1人1台のiPadが導入されましたが、学校と家庭の間でデジタルデバイスの扱い方に対する認識のギャップが大きいことが問題となったといいます。「大人が子どもにルールを押し付けるだけではなく、子ども自身が考え、適切な判断を下せる力を育てることが重要です」と語りました。
また、安倍先生は、従来の情報モラル教育が「リスク回避」を重視する傾向が強いのに対し、デジタルシチズンシップ教育は「責任あるデジタル市民としての行動を学ぶ」ことを目的としている点に言及しました。特に、アメリカのコモンセンス・エデュケーションやヨーロッパの教育指針との違いを比較しながら、日本における新たな教育アプローチの必要性を強調しました。
横須賀学院小学校での実践事例共有
続いて阿部先生は自身が勤めている横須賀学院小学校において、2021年より全校でデジタルシチズンシップ教育を導入したことを共有し、具体的に阿部先生が中心となり、どのような年齢に応じたカリキュラムを構築したかについて説明されました。
授業は、1回10分程度の短時間で実施し、児童が自ら考えられるようなテーマを設定しています。「iPadの適切な扱い」「オンラインとオフラインのバランス」「個人情報の管理」「デジタルフットプリント」など、多岐にわたるトピックを扱っています。特に、「パーソナル(共有可能な情報)」と「プライベート(非公開とすべき情報)」の違いを学ぶ授業では、児童が実際に日常生活の中でどの情報をどのように管理すべきかを考える機会が提供されています。
また、学校と家庭が連携するための工夫として、授業で使用したワークシートを家庭に持ち帰り、家族と話し合う時間を設ける取り組みを実施しています。このプロセスを通じて、家庭でもデジタル機器の使い方について対話が生まれ、保護者の理解も深まっているそうです。
研究会メンバーとのディスカッション概要
講演を踏まえたJDiCEメンバーとのディスカッションでは、日本の教育現場ではルールに従うことを重視しがちであり、子どもたちが主体的にデジタル社会で行動できる力を育むことが課題であるという点が議論されました。
芳賀高洋 JDiCE副代表理事:
「アメリカでは、デジタルシチズンシップ教育が大学の教員養成課程に組み込まれており、教員も保護者もその概念を理解している。一方、日本では、学校側が一方的にルールを押し付ける形になりがちです」
豊福晋平 JDiCE共同代表理事:
「デジタルシチズンシップ教育を「英語で学ぶ」ことの可能性について言及。
「例えば、コモンセンス・エデュケーションの教材を英語で活用すれば、英語教育とデジタルシチズンシップ教育を統合することが可能ではないか」
研究会メンバーの議論の中で「デジタルシチズンシップ教育を、いかに日本の文化に適応させるか」が大きなテーマとなりました。日本では「失敗を避ける文化」が根強いため、子どもたちが安心して試行錯誤できる環境を整えることが必要であると結論付けられました。