毎月1回、ゲストとDC研究会のメンバーが語り合う「DCオンラインゼミ」。今回は児童精神科医の吉川徹先生から,デジタルゲームの問題が診療の中でどのように取り扱われているのかお話を伺い,つきあい方を考える教育のあり方,使いすぎを防ぐための約束,発達障害とネット・ゲームの存在など多岐にわたり議論しました。
今後、動画のアーカイブを有償で配信することも検討しております。以下の概要を読んで興味が出てきたという方は、JDiCE事務局までご相談ください。

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ゲーム障害を再考する―その定義と問題意識
吉川先生は、冒頭でゲームやインターネット使用が果たして疾患や障害と呼べるものなのかという問題意識を提示しました。特に、子どもたちのゲームやインターネット利用が健康な使い方と病的な使い方に明確に区別できるのか、また行動への依存(アディクション)が物質への依存と同様に存在するのかについて詳細に解説してくださいました。アルコールや薬物の依存のような身体的な依存現象とは異なり、行動依存の場合には精神的な依存(心理的なアディクション)が中心となることが指摘されました。
ゲーム行動障害の診断基準と現状の課題
次に、世界保健機関(WHO)のICD-11に正式に採用された「ゲーム行動障害」の診断基準が紹介されました。この基準では、「ゲームの使用制御の困難さ」、「他の生活活動よりゲームが優先される」、「悪影響が出ても続けてしまう」の3点を満たし、それが12か月以上持続することと定義されています。しかし、吉川先生は実際の臨床場面で出会うケースの多くは、不登校や抑うつ、社交不安など、より優先順位の高い問題が存在していることがほとんどだと述べました。そのため、子どもがゲームに依存する背景にある孤立感や他者とのつながりの欠如に焦点をあて、依存の予防や治療において「孤立」を避けることの重要性を強調しました。
ゲームとの適切な関わり方―孤立の防止とデジタルシティズンシップ
最後に吉川先生は、ゲームやインターネットを子どもから単純に取り上げたり禁止することの問題を指摘しました。むしろ、子どもが「機嫌よくゲームをおしまいにする」ように大人が支援すること、子どもと親の対立を煽らない関係作りが重要だと述べています。また、子どもたちがゲームに熱中する理由や楽しさを大人が理解し、一緒に話し合える環境を作ることが孤立を防ぐ上でも重要であるとも指摘しました。
参加者との質疑応答では、学校や家庭でゲーム時間を一律に制限することの問題点や、個別性に配慮した関わり方の必要性が強調されました。ただ、ゲーム行動障害に対する予防や支援はまだ研究途上であるため、子どもたちの孤立を防ぐ視点から慎重な対応が求められるという見解も示していただきました。