AIが問い直す教育(2024年1月22日 DCオンラインゼミから)

毎月1回、ゲストとDC研究会のメンバーが語り合う「DCオンラインゼミ」。今回のゲストは東京学芸大学附属小学校の鈴木秀樹先生。小学校における生成AIの活用に関する取り組みを学校現場で行なっている事例についてご報告いただきました。

今後、動画のアーカイブを有償で配信することも検討しております。以下の概要を読んで興味が出てきたという方は、JDiCE事務局までご相談ください。

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生成AIの登場が問いかける教育の本質

鈴木先生はオンラインゼミの中で、自身のプロフィール画像をChat GPTにイラスト化させるというユニークな実践を紹介しつつ、生成AIが持つ可能性や限界を分かりやすく説明されました。その後、生成AIの登場が従来の教育のあり方を大きく変える可能性があると指摘。これまでの教育は成果や結果を重視しがちでしたが、AIが短時間でそれらしい答えを生成できるようになった今、「学ぶプロセス」そのものにもっと目を向けるべきだというのが先生の主張でした。

また、生成AIは「いつ、どこで、誰が、何を、どうやって学ぶのか」という教育の基本的枠組みを大きく揺るがしています。例えば読書感想文一つをとっても、AIは一瞬で模範的な文章を生成できますが、本来重視されるべきは子どもたちが自分自身で読書を楽しみ、考えを深める過程だと指摘しました。このことから、教師の役割も単なる知識の伝達者から「学びの面白さや楽しさを伝える存在」へとシフトすべきであると強調されました。

教育現場における生成AIとの付き合い方

鈴木先生は、教育現場で生成AIをどのように取り入れるべきか具体的な授業事例を通して紹介しました。その一つに、プロの画家と生成AIに同じテーマで絵を描いてもらい、その違いを子どもたちに考えさせる授業があります。プロの画家は「感情や思想を込めて描く」と語り、AIが単に指示に従い絵を生成するのとは本質的に異なることを明確に示しました。子どもたちはこれを通じて「人間とAIの表現の違い」を深く考える機会を得ました。

さらに先生は、小学生が直接AIを使用するのはまだ時期尚早であるとしつつも、AIの特性を先生が理解し、その面白さや使い方を子どもたちに体験させておく重要性を述べました。また、保護者に対してもAIに関する理解を深めてもらう必要性を強調し、実際に保護者会でAIを用いたプレゼンテーションを行った事例を紹介しました。保護者がAIを身近に感じられるよう工夫することが、今後の教育現場には欠かせない取り組みとなるでしょう。

教育の未来に向けて

ディスカッションでは、参加者からも「問いを立てる力」や「問題を発見する力」が生成AI時代においてますます重要になるとの指摘がありました。また、AIを教育現場に取り入れるためには、その必要性やリスクを明確に保護者や市民に伝える「説明責任」が求められるとの議論もなされました。

最後に鈴木先生は、AI時代の教育は子どもたちが「自分は何を学びたいのか」という主体的な問いを持つことが何より重要になると述べ、そのために教師ができることは「学びの面白さを伝えること」だと改めて強調されました。生成AIが日常化する未来に向けて、教育現場が今取り組むべきことを具体的に示した今回の講演は、大変有意義なものとなりました。


参考:鈴木先生の実践事例については、その後2024年内にさらにアップデートされ、以下の記事でも詳細が紹介されています。

「生成AI時代の基礎学力」とは何か? 学芸大附属小金井小・鈴木教諭が、学びのあり方の再考を提言
-「AIと生きる未来をどう創るか」を考えるフォーラム レポート 前編-
https://edtechzine.jp/article/detail/12175