毎月1回、ゲストとDC研究会のメンバーが語り合う「DCオンラインゼミ」。今回はJEARNとの共同開催イベントとして、講師に成田純也先生をお招きし、AI翻訳を活用した新たな授業実践について報告をいただきました。
今後、動画のアーカイブを有償で配信することも検討しております。以下の概要を読んで興味が出てきたという方は、JDiCE事務局までご相談ください。

今後のDCオンラインゼミを受講されたい方は、研究会のイベント予約サイト(無料)であるPeatixをぜひフォローください。
AI翻訳が小学校教育に与える可能性
AI翻訳が急速に発展する中、教育現場でどのように活用されているのかが注目されています。小学校教諭である成田純也先生は、自らの教育実践を通じて「AI翻訳の活用が子どもたちの外国語学習意欲を高める」と考えられています。成田先生によれば、AI翻訳ツールを用いることで、言語の壁が低くなり、多言語に触れる機会が増えるため、子どもたちは積極的にコミュニケーションを試みるようになります。
実際の授業では、機械翻訳端末「ポケトーク」を使い、子どもたちがALT(外国語指導助手)とのコミュニケーションを試みたり、流行語や日常表現がAIでどのように訳されるかを実験的に調べたりしました。その結果、子どもたちは自分たちの表現が翻訳されない理由を理解し、「優しい日本語」や相手に伝わりやすい表現の大切さを学ぶことができたそうです。この経験は、単なる外国語学習に留まらず、自分たちの言語やコミュニケーションのあり方を客観視する良い機会になったといいます。
教育現場でのAI翻訳活用の実際と成果
修学旅行先で外国人観光客にプレゼンテーションを行うという授業でも、AI翻訳ツールが活躍しました。最初は外国人に対する恐怖心や不安を抱いていた子どもたちも、実際に交流を経験することで、「自分の言葉で伝えたい」という意欲が生まれ、外国語学習への動機付けが高まりました。成田先生は、従来の外国語教育では「学んだ成果をコミュニケーションで発揮する」という順序でしたが、AI翻訳を用いることで「まずコミュニケーションを体験し、その後さらに学びを深める」という新しい教育プロセスが実現すると指摘しています。
また、AI翻訳の活用は、外国語を話せない外国籍の子どもたちにとっても有効であり、安心して教室に参加できる環境作りにも役立っています。言語の壁を超えた交流が可能になったことで、教室内にインクルーシブな雰囲気が生まれ、保護者とのコミュニケーションの改善にも効果がありました。
AI翻訳とデジタル・シティズンシップ教育の展望
AI翻訳を教育に取り入れる意義について成田先生は、これが「メガネのような社会」を作るための重要なツールであると述べます。メガネをかけることが不公平ではないように、AI翻訳を自然に活用する社会を作るためには、小学校段階から豊かな言語学習の経験が必要です。AI翻訳の使用が外国語学習意欲を阻害するどころか、むしろその意欲を高めることが証明されたことで、今後はこれをより積極的に教育現場に取り入れるべきと主張しています。
デジタルシティズンシップ教育とも密接に関係し、AI翻訳を用いることによって多様な人々と容易に繋がり、互いを理解し尊重する力を育むことが可能になるでしょう。外国語教育は単なる言語の習得を目標にするのではなく、コミュニケーションを通じて社会に貢献できる市民を育てる教育へとシフトする必要があると、成田先生は提言しています。