毎月1回、ゲストとDC研究会のメンバーが語り合う「DCオンラインゼミ」。今回はイギリス・虹の森センターロンドンの精神科専門医・子どものこころ専門医である坂野真理先生お話をいただきました。
今後、動画のアーカイブを有償で配信することも検討しております。以下の概要を読んで興味が出てきたという方は、JDiCE事務局までご相談ください。

今後のDCオンラインゼミを受講されたい方は、研究会のイベント予約サイト(無料)であるPeatixをぜひフォローください。
イギリスの子どもたちのメディア環境と「オンライン安全法」の導入
坂野氏は、ロンドンおよび鳥取県倉吉市で活動されており、イギリスにおける子どもたちのメディア環境や、家庭での安全対策について詳細な情報を提供してくださいました。特に興味深かったのは、イギリスではスマートフォンの普及率が非常に高い一方、ゲーム機の所有率は日本よりも低く、SNSを中心としたコミュニケーションが主流であるという指摘です。日本同様にオンライン上でのトラブルが問題視されていることを紹介し、イギリスでは子どもがオンラインで嫌な経験をしたり、過激な情報に接触したりするリスクに敏感であると述べられました。こうした動きを踏まえ、2023年には「オンライン安全法」が成立し、企業側に有害コンテンツの削除を義務付けるなど、積極的な対応が進んでいることが紹介されました。
家庭内でのメディア教育における「アグリーメント」の重要性
また、イギリスでは家庭でのメディア教育において、「ルール」ではなく「アグリーメント(合意)」という考え方が重視されていることが強調されました。家庭内でルールを押し付けるのではなく、まずは親子間の信頼関係を構築し、ポジティブな会話からスタートすることが基本だと説明されました。さらに、イギリスでは家庭向けに充実したオンライン教材が整備されており、特に保護者が子どもと共に楽しみながら安全にゲームを楽しむための教材「ファミリーゲーミング」が紹介されました。このような教材については、日本でもぜひ導入すべきという意見がJDiCEメンバーからも出されました。
登壇者ディスカッション:日本とイギリスのメディア教育の比較と課題
ディスカッションでは、JDiCEメンバーより、日本の現状との比較や、イギリスの教育制度に関する質問が多く出ました。特に参加者が関心を示したのは、日本ではゲーム依存などの時間制限に注目が集まる一方、イギリスではオンライン上でのコミュニケーションの質や内容に関心が寄せられているという違いでした。また、イギリスの学校には教科書がなく、教師が柔軟に教材を作成していることや、教員向けの教材サイトが充実している点にも注目が集まりました。特別支援教育や福祉制度に関する日本との違い、イギリスにおける教育格差や階層社会の影響など幅広いテーマで活発な議論が展開されました。総論として、イギリスの事例も参考にしつつ、日本でも子どもを主体的に尊重したメディア教育を推進していく必要があるとの意見が一致しました。